鎌倉時代和歌山県の根来寺に住む僧侶衆が使用していた朱塗りの器が使い込むうちにかすれ、下地の黒漆が露出した状態が趣あるものとして根来塗と呼ばれた。
現在では故意に表面の朱を研ぎ破る技法が発展し、その塗装技法が根来塗と称されるようになっている。
漆器の表面に漆で絵や文様などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔いて器の表面に定着させる技法。起源は奈良時代まで遡る日本独自の漆工芸で、漆器の代表的な加飾技法のひとつ。
一般的な漆器といえば艶のある器が想起されるが、塗料の成分によって艶感を制御することができる。紀州では、艶感を調整することで漆器の風合いに多様な表情を生み出してきた。
加工された木板を職人の手仕事で精度高く組み上げることによって生まれる重箱や盆。古来から紀州では、板物の材料となるヒノキや楠などの豊富な県産材に恵まれ、その技術も磨かれてきた。
木材を機械に取り付けて回転させ、そこに刃物を当てて器の形を削り出す技法。漆器椀の基となる木地はろくろ挽きで製作されており、職人の手仕事でひとつ一つ丹念に削り出されている。